疲労は生命維持に重要な三大アラーム(痛み・発熱・疲労)の一つですが、現代では 国民の実に40%が6ヶ月以上続く慢性疲労を自覚し、そのうち半数近い人々が、疲労が原因で仕事の能率が低下したと訴えるなど、ごく身近な問題でもあります。 しかし、これまで疲労は体系的な研究分野として確立されてこられず、現代医学から取り残された領域でもありました。疲労を主訴に病院を訪れた患者さんの60%は医療対象から切り捨てられているのが実情です。 そうした中、渡辺恭良博士(分子イメージング科学研究センター・センター長)は、疲労に関わる生体分子や疲労を和らげる食薬素材の探索、疲労度の客観的測定法の開発等を通じて、「疲労を科学する」ことを研究史上初めて体系的に推し進め、その成果に対して、このたび、文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)が授与されました。 |