生命現象を生きたままの状態で定量的に観察することができる分子イメージングは、今後の医療を変える極めて重要な分野であり、世界各地で集中的な研究・開発が行われています。例えば、創薬開発にPET(Positron Emission Tomography)を取り入れることで、ヒトを対象とした研究を早期に行うことができ、動物とヒトとの間のタンパク機能の種差に関する知見が早い段階で分かることから、創薬プロセスの革新が見込まれているほか、個体レベルでの生体機能の解明による疾患の早期診断や治療技術の高度化が期待されています。 このため、文部科学省の委託事業「分子イメージング研究プログラム(平成17年度~21年度)」(以下「第Ⅰ期プログラム」)では、創薬候補物質探索拠点(独立行政法人理化学研究所)とPET疾患診断研究拠点(独立行政法人放射線医学総合研究所)の両拠点において、要素技術や試験設備等拠点機能を整備し、次の「分子イメージング研究戦略推進プログラム(平成22年度~26年度)」(以下「第Ⅱ期プログラム」)においては、第Ⅰ期プログラムで開発された要素技術の医療分野への適用をより一層加速させるため、選択と集中により、がん・認知症分野に重点化し、臨床応用へ向けた共同研究を行い、実用化のための成果創出を目指しております。 また、分子イメージング技術をさらにライフサイエンス基盤として根付かせるための若手研究者や技術者の人材育成についても段階的な発展を遂げております。 今回のシンポジウムは、分子イメージング研究の第Ⅱ期プログラムにおいて実施している共同研究課題の中間報告及び意見交換を行うとともに、近年の分子イメージング研究の発展を振り返り、更なる展開に向けた目標について講演し、大学、研究所、企業の皆様に広く分子イメージング技術をご理解頂くことを目的としております。 本シンポジウムにご参加いただいた研究者・事業者同士の交流を通して、分子イメージングの未来を語る機会にして頂ければ幸甚です。 文部科学省 |